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加硫ゴムからTPE化するメリット

医療用ゴム栓を加硫ゴムからTPE化するメリット医療用ゴム栓の素材として従来用いられてきた加硫ゴムに代わり、近年では熱可塑性エラストマー(TPE)が注目されています。
TPEを採用することで、製造工程の効率化や環境負荷の低減など多くのメリットが得られます。

ここでは、医療用ゴム栓を加硫ゴムからTPEに切り替える主なメリットを3点ご紹介します。

メリット①

射出成型が可能で作業工程が大幅に削減できる加硫ゴムは成形後に加硫(架橋)工程が必要で、成形と加硫の2段階の作業工程を経るため時間とコストがかかります。
一方、TPEは熱可塑性樹脂のため、加硫工程が不要で射出成型機を使って一気に成形が可能です。これにより、配合や計量の手間もなく、バリ取りもほとんど不要となり、作業効率が大幅に向上します。結果として製造コストの削減とリードタイム短縮が期待できます。

メリット②

リサイクルが可能でロス率が減少するTPEは熱可塑性の特性を持つため、使用後や製造過程で発生した端材を再度加熱・成形してリサイクルできます。
加硫ゴムのように架橋されている素材はリサイクルが難しいのに対し、TPEは廃材をほぼそのまま再利用できるため、材料ロス率が大幅に減り、環境負荷の軽減にもつながります。また、TPEはPVCのように可塑剤を含まず、環境に優しい素材としても評価されています。

メリット③

VOCやH2Sなど有害物質の発生がなく安全性が高い加硫ゴムの製造や焼却時には揮発性有機化合物(VOC)や硫化水素(H2S)などの有害ガスが発生する懸念がありますが、TPEは製造時や使用時、焼却時に塩素やダイオキシン、VOC、H2Sなどの有害物質を発生しません。医療用途に求められる高い安全性を満たし、患者や医療従事者の健康リスクを低減します。
​​​​​​​さらに、TPEは可塑剤フリーでラテックスフリーのため、アレルギーリスクも抑えられます。まとめると、医療用ゴム栓を加硫ゴムからTPEに切り替えることで、射出成型による製造工程の簡略化とコスト削減リサイクル可能な素材による材料ロス低減と環境負荷軽減有害物質の発生がない安全性の高さという大きなメリットが得られます。これらの特長により、医療用ゴム栓の品質向上と製造効率化、環境・安全面の改善が期待できるため、TPE化は医療機器業界で今後ますます重要な選択肢となるでしょう。

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